フリーブレンド配合シリーズ
金属の重厚感や美しさを演出する技術 GEOPLAS金属配合
逆も真なり
高度成長期以降、「軽量化」という言葉が多くのモノづくり企業のキーワードになっています。
持ち運びに便利な事、車の燃費を左右する事、作業性が向上する事等の視点から、軽さが求められる時代、と言えるのではないでしょうか。
その軽量化の役割を担った材料がプラスチックだったはずです。
多くの素材の中でも、プラスチックは一際比重が低く、さらに加工性が優れている点から商品や部品の軽量化には最適な原料とされてきました。
軽量化を追求する事で、プラスチックの市場はどんどん拡がっていったとも言えます。
「では、何故、この世の全てのモノがプラスチックになっていないのでしょうか?」
鉄やステンレス、アルミで作られている物、
「これら金属製に求められている要求は、何なのでしょうか?」
それは、高級感が求められる商品、光沢が必要な外観、触った時の冷たさ、ずっしりとした重みから感じる安心感、これらの要求を満たしたい時に、プラスチック原料では不可能だと判断され、最初から選定材料からは除外されています。
プラスチックには、金属が持つ「味わい」「安定感」「満足感」が欠けており、どちらかと言えば安物といったイメージが付いてしまっています。
軽量のプラスチックと、重たく高級感のある金属は、真逆の世界に存在しています。
もし、プラスチックに金属の味わいや高級感等を持たす事が出来れば、デザイン性能や加工性能、コストパフォーマンスにおいて、金属よりも優れているプラスチックに、全く新しい価値を生み出す事が出来ると考えたのです。
そこで、第一精工舎は、多くのプラスチックメーカーとは一線を画し、この要求をアイテムに取り入れました。
「重たく高級感のあるプラスチック?」まさに「逆も真なり」を実行に移したのです。
金属の質感
金属の高級感
金属の重量感
金属の触感
フリーブレンド工法の目的材に利用
第一精工舎は、プラスチックをベースレジンとし、多様化する顧客目的を配合によって実現させてきました。
金属に求められるニーズは、云わば金属だからこそ味わえるモノです。
この味わいをプラスチックで実現する場合、プラスチックのボリュームを限界まで減らし、一方の金属材料を限界値まで配合しなければなりませんでした。市場に存在する金属材料。
しかもこれらは、粉として存在している事が配合の条件になります。
金属の中で、この粉が存在しているモノに、鉄粉・ステンレス粉・フェライト粉・アルミ粉・亜鉛粉・銅粉・タングステン粉・ジルコニウム粉等があります。
これらは、プラスチックに混ぜる為に存在していた訳ではなく、違う目的として利用されています。
例えば、塗装前に行うショットブラストや、使い捨てカイロ等の熱伝導材料や、ダイキャスト製品の元の原料として必要不可欠なモノであり、現在も尚、目的で大量に消費されています。
唯一、第一精工舎だけがプラスチック原料の配合のための材料として、これら金属粉に新たな役割を求めました。
有機原料の代表格がプラスチック等の化学原料ですが、金属粉は金属原料として別格な位置付けをされており、陶器やセラミックや木粉等の無機原料とも差別化されています。
本来金属は、有機原料の配合目的材として利用されていませんので、混ぜる為にはもう一つのアイテムが必要になります。
そのアイテムこそ、カップリング剤です。カップリング剤の組合せを見つけてこそ、ハイブリッド原料は存在します。
フリーブレンド工法も同様に、各金属粉に応じて、適切なカップリング剤や添加剤を見つける事から研究開発をスタートさせました。
GEOPLASの誕生
第一精工舎の研究開発スタンスは明確です。
何が、どの程度混ぜられるか?ではなく、
目的を達成する為には何をどの程度混ぜるか!となります。
「その為には、どんな配合処置と手段を行うべきか!」を研究開発の主軸としており、この事は創業以来、一貫して変わっておりません。
こうして、目的に応じた金属粉配合のプラスチック原料は完成しました。
金属原料は、元々地球上に存在していた材料であり、さらに未来を見つめると他の惑星に新たな素材が見つかる日も近いでしょう。私たちは未知なる研究に心躍らせながら、地質を意味するGEOLOGYからGEOをとり、統一配合名として、
フリーブレンドの新しい配合カテゴリー“GEOPLAS”が生まれました。現在、配合が確立され、既に生産材料として利用されている原料は、鉄粉をはじめ、タングステン等のレアメタルまで各種あります。
様々な市場要求に応じて、ベースレジンであるプラスチック原料と、これら金属原料の組合せを多数グレード化しています。
金属配合例
身近な所では、ボールペンのボディは、既にプラスチックが利用されていますが、高級グレードは金属のボディが未だ選定されています。また、定規やペンケース等も高級グレードゾーンは金属が主流の材料でした。
これらは、「高級感」の要求をプラスチックでは、充たす事が出来ないと考えられていたからです。
さらに、テープカッターやパンチ、ホッチキス等は、操作機能の観点から「重量感」を必要としており、プラスチック素材の低級品も存在していますが、使った時の不安定な操作性能は誰しもが気付いている通りです。
もう一つ、「切れ味」にも金属素材で無ければならない理由が存在します。プラスチックの平均比重は、1.2程度ですが、金属はそのどれもが比重5を超えており、ずっしりとした重さを備え持っています。
この事は、人が力を入れずとも楽な操作を可能にしており、即ち「切れ味」を引き出しています。
商品では、カッターナイフや裁断機、ハサミ等がこれらの要求から金属を利用しています。
第一精工舎が持つ、【GEOPLAS鉄粉】グレードは、これらの要求を損なう事なく、金属製からプラスチック製品に置き換える事を可能にしました。
その他、化粧品業界、おもちゃ業界、衛生用品業界も同様の観点から、プラスチックと金属を使い分けており、
【GEOPLAS亜鉛粉】【GEOPLASアルミ粉】【GEOPLASフェライト粉】等のグレードをご紹介する事で、次々に高比重化されたプラスチックによる樹脂化が促進されています。
その一例をご紹介いたします。
・水廻りで使用され、尚且つ金属並みの比重が要求される水栓機器やキッチン商品、住宅水廻り部品等には、
弊社が持つ【GEOPLASステンレス粉】グレードがお勧めです。
この配合はプラスチック材料の中からポリプロピレン、金属材料の中からステンレスを選定材料とし、ステンレス粉の最大配合率を70%まで可能にしています。
プラスチックの場合、金型さえ成立すれば複雑なデザインも可能であり、触れた時にプラスチック独特のチープ感が無ければ、高級なデザイナーズブランドの様な商品化を可能にします。
目的材にステンレスを選定したのは、熱伝導率に起因した冷たさと、安定感を兼ね備え、それでいて錆びない事が最大の条件になるからです。
現在、大手水栓機器メーカーや大手住宅設備メーカーに採用実績がありますが、使用されている一般消費者は、
「まさか、これがプラスチック」とは気づかずにご利用頂いております。・文具業界にも、プラスチックでは商品のポリシーを損なうとして、相変わらず金属が利用されている部品が多々ありました。
実現へのプロセス
我々の原点は
「成功する為に成功の手段を見つける」
「手段が無ければ自分達のオリジナルを考える」
「成功すれば、その事がいずれ標準化される」
これら社風とも言える、チャレンジを妨げるネガティブな要素は社内から全て排除し、失敗こそ成功の為に必要な手段だと断言し、配合のみならず、生産機械、仕組み、保証に至るまで、確立された生産体制を構築し、各業界の様々な金属部品を、金属と見間違うプラスチック原料によって覆してきました。
是非、我々の創り出した製品の数々に触れてみて下さい。
「もはやこれはプラスチックなのか?」必ずあなたは、その言葉を口にするはずです。
冒頭から述べた通り、有機分類のプラスチックに金属を高配合する事で、第一精工舎は「高級感」「安定感」「使い易さ」「切れ味」を持つプラスチック材料を創り出しました。
しかし過去、プラスチック企業も金属企業も、そのどちらもが手を出さなかったのは何故でしょうか?
それは、試す前から想像される問題点が多く、それが企業の行動の妨げになっていたからです。
①融点の違う素材をどの様に相溶化させたら良いのか?
②大量生産においてバラつく事なく安定生産が出来るのか?
③射出成形機のスクリューは耐久に問題が無いのか?
④界面の状態は海・島の関係を作り出すはず。この時、基本物性は担保出来るのか?
⑤金属が持つ酸化構造はプラスチック配合でも同様に起きるのか?
等など、他社は、過去の余計な知識がここでも研究のスピードを妨害してしまいます。